ビーイングバリュー経営を実践するための10の美意識
2021.03.03
「潔さを持つ」
「組織は、放っておくと、いがみ合う」
自分が組織開発に携わる中で、確信的に
持っている根っこの持論です。
特に、経営者と社員は、立場の違いから
ついつい対立構造になりがちです。
社員が思うように動かない。
給料泥棒だ。会社を食い物にしている。
だから、人事制度を見直したい。
よくあるご依頼いただくパターンです。
特に、営業職だと、成果も見えやすいので、
払っている分だけ稼いでこないとの不満が、
でガチです。
しかしながら、人事評価制度は、社員の
自律的な成長を目的とした制度なので、
単に給与を下げたいというのだと、
制度設計のベクトルが揃いません。
もし、社員の動きに不満があるのなら、
まず社員と面談して向き合うことが必要です。
期待することと現状のギャップを伝え、
行動の修正を促す。
こちらの思いを伝えた上で、それに対する
社員の思いも聞き、対立ではなく対話で、
合意点を定めて、社員に行動変容を促す。
そんなことは、散々やっている。
口酸っぱく言っている。
と、経営者は、おっしゃいます。
でも、よく聞くと、一方的に伝えている
だけで、向き合っていない。
向き合うとは、
社員の不満も不満として受けとめる。
すべてを聞き入れる訳ではなく、
ただ、不満を持っているという事実は、
否定せずに受けとめる。
その上で、進みたい方向性を共有して、
社員に共振を起こす。
強く指示するのではなく、熱く方向性を
語る。それに向けた参画を促す。
その上で、もし方向性への賛同が
得られないなら、その時は処遇を
考えるべきでしょう。
確かに、時間も労力も使います。
なので、経営者の皆さんは、社員と 向き合うことを結構避けます。
直接話すと、反発も直接受けるので、
それが面倒で避けようとする。
経営者は忙しいです。
なので、忙しいを理由に向き合う
ことを後回しにする。
これ、雇っておいて、“潔さ”がないです。
潔いとは、第一義的には、引き際で
見苦しくしない、の意ですが、
ここでは、もう少し広い意味で、
現実から逃げずに向き合う、
覚悟を持って直面するとの意味を
含めて使います。
先日も、まさにこのパターンの場面が
クライアントの企業でありました。
営業部門の幹部二人が、思うように
動かない。二人が、昼間、どこに
行って何をやっているのかわからない。
成果が全然足りない。指示しても、
リアクションが遅い。報連相が足りない。
当然、関係はギクシャクで、幹部社員
二人は、会社にいるのがイヤだから、
逃げるように外出する。
社長のイライラが、日々積もる状態です。
そんな中、社長から、難しい関係になった
幹部社員に対し、社長の言いたいことを
こちらから代わりに伝えてもらいたいとの
依頼がありました。
こうした組織が淀んだ時に関与し、状況の
打開、改善を図るのは、組織開発コンサル
の出番です。
社長の意向を踏まえ、自分も入り、経営者、
社員との面談の場をつくることになりました。
ただし、間に入るのではなく、三角形の場を
つくる。
単に間に入るのでは、本質的な組織課題の
解決には寄与しません。
社長には、向き合うことの意味を事前に
レクチャーして、面談に臨みました。
対立ではなく対話の場をつくり、両者の間に
かけ算を起こし、関係性を変容させる。
まさに、組織変容を起こす組織開発コンサル
の役割です。
当初は、それぞれが言いたいことを口にする、
対立的な空気がありましたが、一通り吐き出し、
お互いの思いが共有されてくると、
ではどうするかという今後の対応についての
対話となり、面談は終わりました。
もちろん、すべてが気持ちよく合意できた
訳ではありません。
感覚的には、6割位の合意といった感じです。
しかも、二人ともと面談しましたが、
うち一人は、根っこの部分に修復が難しい
ズレがあり、今後によっては会社を離れることに
なるかもといった状態です。
終わって、どうでしたかと社長に尋ねると、
言いたいことは概ね言えたし、あいつらの
思いも聞けたので、話してよかった。
ただ、向き合うって疲れるなあ〜。
口元を軽く歪めながら、それでも清々しそうな
表情をされていました。
そう、向き合うことは、エネルギーを使います。
でも、向き合うことで、社員と経営者の間に
かけ算が起き、社員も経営者も成長し、
組織が成長していく。
向き合うことに使うエネルギーは、
組織が成長するために使うエネルギーです。
陰口言って、ストレスためて、直面することを
避けていると、組織の中にどんどん対立構造が
生まれてしまう。
空気は連鎖しますので、対立が増殖します。 こうなると、おのずと業績にも表れます。 経営者のイライラは増し、ますます組織の中に マイナスのエネルギーが広がります。 経営者の潔さが欠けたことが生む、 負のスパイラルです。
潔さを持つ。 経営者にとって、継続的に組織を成長させる、 大切な要素です。
潔さ、持ててますか。
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